
平成15年8月、奈良市で販売体験をしながらお金の大切さや価値を学ぶ
「いらっしゃいませ!ならっ子ストア」が開かれました。
子ども店員、元気な掛け声
奈良市内の小学生41人が「店内」に見立てて販売
平成15年8月17日、奈良市杉ヶ町の生涯学習センターで、
販売体験をしながらお金の大切さや価値を学ぶ
「いらっしゃいませ!ならっ子ストア」が開かれました。
同センターを「店内」に見立てて、小学生が野菜や果物などを販売。開店に向けて2回の講座で学習
流通や利益をあげるための販売計画、商品を仕入れるための資金調達などを模擬体験しました。
また、宣伝チラシや販売方法も講座に取り入れました。
講習の様子は こちら から。
奈良にはたくさんの特産品があるって知ってた?
お店をひらいて奈良の特産品を販売しよう

最近、子どもを対象に経済教育がらみのイベントが、あちらこちらで開催されてぃますが、
なかでも、キャリア教育や起業家教育の観点から、学校や地方自治体、
あるいは企業が主催する商業体験学習が数多く実施されています。
この種の体験学習は子ども達にも好評のようです。
この夏、私も奈良生涯学習センター主催「四日間の販売体験学習」の監修と講師役を引き受けました。
販売体験学習というのは、人工的に作った「場」で、限られた「時間」内に、商売を体験することにより、
お金の大切さ、働くことの意義などを学ぶことです。
私が関わった今回の企画は、販売体験を通じて奈良の地場産業や商工業について学んでもらうことをねらいとしました。
伝統工芸品や特産物の販売を通じて、安価で便利なモノがあふれている現在の生活のなかで、
自分達が住んでいる地域の歴史や伝統に触れ、その良さを再発見したり、
今に残る価値を考えたりする機会になればと考えたからです。
参加者は、講座の募集案内をみて応募してきた奈良市内に住む子ども達です。
学校も学年もばらばらですし、初回は隣に座っている子と初顔合わせになりますから、
みんな緊張している様子でした。そんな雰囲気を和らげるには、ゲームやクイズが効果抜群。
「奈良はなぜ『奈良』というのでしょうかね」「奈良のイトーヨーカドーには地下がありません。なぜですか」と、
奈良の特色を学びます。続いて「徳川家康が味見をしておいしかったから広まったものは何でしょう」
「江戸時代に、郡山の殿様が大切にしようとして広まったものは」「高級品に『最高峰』という名前がついているものは」と、
伝統産業についてのクイズで遊びながら学びます。
最初の緊張ムードがすっかり和やかな雰囲気に変わったころ、チーム分けをして、
販売する商品(鹿の角細工、赤膚焼き、大和茶、奈良漬、みそせんべい)を選びます。
チームを会社に見立てて社名を考え、それぞれの商品を売るための販売計画を立てます。
二日目は、自分たちが販売する伝統工芸品や特産品について取材するために、職人さんや生産者のところに伺い、
話を聞き、製造工程を見学します。ちびっこ記者さんたちの、取材メモをとる姿は真剣そのもの。
実際に見て聞いた感動で、子ども達は興奮気味。
取材から戻ってきてからの商品のチラシ作りにも熱が入ります。奈良漬の伝統的な作り方やおいしい食べ方。
赤膚焼きの三代目小川二樂さんを取材した様子。おいしい大和茶の歴史。鹿の角は使えば使うほど風合いがでてくること。
一枚、一枚のチラシには、愛着と自信が満ち溢れています。
販売当日には、奈良の「灯火絵」というお祭りの日でもあり、観光客も見込めます。
「売れた」「最後のひとつ!」と各チーム、完売で喜びの声が重なるころ、ちょうど閉店時間をむかえました。
残念なことに、一つのチームだけがたくさんの売れ残り在庫をかかえてしまいました。汗だくになりながら、
在庫を片付けていた子ども達の作文が、その苦労を物語ってくれます。「売れなくて悔しいことが経験できてよかった」
「売れ残ったのはお客さんにその価値が伝えられなかったから」「ものを売ることがこんなに大変だとは思わなかった」
「なかなか買ってはくれなかったけど、試食だけでもしてくれたときは嬉しかった」「この品物は手間隙がとてもかかること。
そしてその手間隙がおいしさに変わることを、私自身が学べたことがとても嬉しい」「売上げは最低でも、チームワークは最高だった」。
金銭・経済教育に伝統産業を組み合わせた取り組みを、参加した子ども達はどのように理解したのでしょうか。
子どもたち、一人ひとりが将来、充実した豊かな生活を送るための一助となれたとすれば、私としては望外の幸せです。
そうそう、今回の体験学習の際に、私が大切にしている伝統品を子どもたちに披露したのです。
箱根の寄木細工、沖縄のミンサー織のペンケース、久留米絣のポーチ、越前竹人形、
屋久杉の猪口・・・。皆様のそばにもきっと、長い間、大切に使い続けてきた「何か」がありますよね。